ジュリア・モスキン(Julia Moskin)探訪 10月6日付け、NYT掲載から抜粋
アメリカ南部伝統のフライド・チキンの味覚が、急速にニューヨーク市内に広まり、イースト・ヴィレッジのレッドヘッド(The Redhead, the East Village)、トリベカのロカンダ・ヴェルデ(Locanda Verde, TriBeCa)、ブルックリン、キャロル・ガーデンのバターミルク・チャンネル(Buttermilk Channel, Carroll Gardens)などに定着した。味付けについては、バターミルク漬けか塩もみか、油揚げは深揚げか浅揚げか、などの論議がやかましく交わされているようだ。が、本質的な論議点-----南部のフライド・チキンの味付けがどれほど影響を与えたか、については異論があるようだ。
[たかがチキン、されどチキン、面倒な解説はこの際飛ばして、ニューヨークで人気のあるフライド・チキンを一見展望してみた方が百聞より手っ取り早やそうだ。]
手羽屋(てばや)の店主で調理人、39才のオカモト・コウジは、チェルシー(Chelsea)で和風味の手羽(てば)を売り物にしている。南部風味のフライド・チキンがニューヨークを席巻している中で、手羽屋のチキンは香辛料とショウユをたっぷり使って一味違った風味を出している。
オカモトが料理する手羽は、まずショウユ、ミリン、黒こしょう、ゴマに漬けて下味を整えられ、2回油揚げされる。オカモトは「一回目の揚げは、風味をとじ込めるためで、二回目はカラっとさせるために揚げます」と説明する。
オカモトの唐揚げ:ニンニクとショウガの下味を付けたモモ肉、衣(ころも)はサツマイモの澱粉を使っている。
中華街、コンジー・ヴィレッジ(Congee Village: 粥之家)のマネージャー、エディ・イー(Eddie Yee)は「下味を付けず、包丁も入れないで揚げたチキンには風味なんかありません」と言い切る。(上の写真:左側の客が、同店のニンニク味フライド・チキンに箸をつけるところ。)
コンジー・ヴィレッジでは、チキン丸ごと白酢とモルト・シロップに漬け、中身には5種類の香辛料、鳥用味つけの素、ニンニク/ショウガ、などを擦り込み、扇風機の前に5時間ほど吊るして乾かす。最後に丸ごと油でどっぷりと揚げる。
油揚げのあと、包丁で小さく切り分ける。上からツヤ出しニンニクをかけると、カラっとした皮を伝わって肉に広がっていく。
仕上がりはフライド・チキンに香辛料が滲み込み、カリッとした甘みがでる。
モモフク・ヌードル・バー(Momofuku Noodle Bar)の晩餐向けフライド・チキン-----予約客に限る-----は、アメリカで従来風のフライド・チキンに米粉を使い、塩味のオールド・ベイ調味料をたっぷり効かせた味付けとなっている。(写真では皿の左側の部分) 他に、二度揚げし、韓国風に香辛料を効かせた赤味肉がコースの一部に入っている。
モモフクの山盛りのチキンには、4種類のソース、中国料理のパンケーキ風の包み、それに大根、伏見芥子(ふしみからし)、シソ、ミント風味の新鮮な野菜のボウル、が付いてくる。
ファティ・クラブ(Fatty Crab)の2店では、調理人コーウィン・ケイヴ(Corwin Kave)が料理する、衣が薄く香辛料を擦り込んだチキンの準備には5日かけている。
ケイヴのチキン料理は蒸気オーヴンから始め、支那鍋で仕上げる。下味にはインド産のウコン、フェンネル、ショウガ、魚脂ソース、薫製シロップなどを使っている。
ニューヨークに限らず(世界的に広がった)南部的な衣の厚いフライド・チキンの類い(例えば、ケンタッキー・フライド・チキンなど)は「ジャンク・フードにしか過ぎない」とケィヴは言い切る。
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◆ニューヨーク・タイムズ推奨のフライド・チキンの店ご案内 (南部的フライド・チキンの店を含まない)
◆Congee Village(粥之家): 100 Allen Street (Delancey Street), (212) 941-1818, congeevillagerestaurants.com. House special crispy garlic chicken: whole, $18; half, $9.
◆Fatty Crab: Upper West Side: 2170 Broadway (76th and 77th Street), (212) 496-2722, fattycrab.com. Fried chicken with Thai chilies and smoked palm sugar is an occasional special, $22 to $25, depending on the kind of chicken.
◆Kyochon: 156-50 Northern Boulevard (157th Street), Flushing, Queens, (718) 939-9292. Original and spicy versions; $19.59 for a whole chicken.
◆MAMBí: 4181 Broadway (177th Street), Washington Heights, (212) 928-9796. Pollo frito, served with rice and beans; $9.35.
◆Momofuku Noodle Bar(モモフク・ヌードル・バー): 171 First Avenue (10th Street), East Village, (212) 777-7773, momofuku.com. Fried chicken dinner, by online reservation; two chickens and unlimited sides, $100.
◆Teba-Ya(手羽屋): 144 West 19th Street (Seventh Avenue), Chelsea, (212) 924-3335. Fried wings in black-pepper soy sauce; $5.75 for eight.
◆Umi Nom: 433 DeKalb Avenue (Classon Avenue), Clinton Hill, Brooklyn, (718) 789-8806, uminom.com. Salt-and-pepper wings with Anaheim chilies; $10.
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韓国風フライド・チキン(Yangnyeom Dak)の調理法
セシリア・ハェジン・リー(Cecilia Hae-Jin Lee)著
『即席で易しい韓国料理(Quick and Easy Korean Cooking)』から抜粋
セシリア・ハェジン・リー(Cecilia Hae-Jin Lee)著
『即席で易しい韓国料理(Quick and Easy Korean Cooking)』から抜粋
所用時間:下味付けに1時間、料理に30分
[材料、4-6人分]
◆小さめな白タマネギ1個を粗めにきざむ。
◆ニンニク2片、細かくきざむ。
◆塩を茶さじに半分、その別にふりかけ用にもう少し。
◆黒コショウを茶さじに4分の1、その別にふりかけ用にもう少し。
◆骨抜き皮抜きのモモ肉8-10個、または手羽24個。
◆韓国チリ・ペースト、大さじ3杯またはそれ以上。
◆ケチャップ大さじ3杯。
◆砂糖を4分の1コップ(計量用の)。
◆煎ったゴマ粒を大さじ2杯、またはそれ以上。
◆レモン半分からジュースを。
◆揚げ鍋に野菜油をなみなみと。
◆小麦粉を半コップ(計量用の)。
◆澱粉(でんぷん:日本では片栗粉だが、アメリカではトウモロコシの)をコップ3分の2(計量用の)。
[調理法]
- 中ぐらいのボウルに、刻んだタマネギ、ニンニク、塩、コショウを混ぜる。その中にチキンを入れ、肉の表面を刻んだタマネギその他でかぶせる。ボウルにフタをして1時間ほどねかせる。
- 大きなボウルに、チリ・ペースト、ケチャップ、砂糖、ゴマ、レモン・ジュースを入れ、よく混ぜ合わせる。味わってみて、辛み、甘み、強みなどを調節し、肉を入れて下味をしみ込ませる。
- 揚げ鍋に油をたっぷり入れて(4センチ前後)、350度(摂氏177度)になるまで熱する。小麦粉と澱粉を浅いボウルの中で混ぜ、塩とコショウを加える。
- 下味が整ったチキン肉をとり、粉のボウルに入れて軽く粉をまぶし、ゆっくりと熱した油の中に落し、時々ひっくり返しながら、黄金色の茶色にカリカリになるまで(5-7分位)揚げる。揚がったチキンは、ペーパー・タオルの上に移し、余分な油を沁み取る。油の温度を確保しながら、残るチキン肉を揚げる。
- (揚げた手羽の場合だけ)油の温度を375度(摂氏191度)に上げ、もう一度30秒から1分ぐらい更にカリカリになるように揚げ直し、ペーパー・タオルの上に移して余分な油を抜き取る。チキンがまだ熱い内に、刷毛でチリ・ソースを付ける。ゴマを振りかけ、熱い内に賞味するとよい。
1 件のコメント:
ご推薦の『韓国風フライド・チキン』を試しに料理してみた。旨い、の一言。
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