2012年10月29日月曜日

カボチャの季節


またハロウィーンの季節が到来した。ハローウィンについて一言書こうと思ったら、たまたま朝日の天声人語子が書いていたので、下記、代弁して頂くことにした。
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天声人語 2012年10月29日(月)
いつの間にか、という表現がぴったりする。ハロウィーンの日本への浸透ぶりだ。この季節に商店街を歩くと、あちこちからお化けカボチャが笑いかけてくる。アメリカでは、子どもたちが仮装をして近所を回る楽しい行事だ▼(中略)▼もとは悪霊を追いはらう行事でもある。米国では「コミュニティーのお祭り」の色合いが濃い。日本でも、地域など、子どもを育む共同体で楽しめば、つながりも深まろう。それが子を守る力にもなっていく。悪鬼のつけ入る隙をみんなのスクラムで封じたいものだ。
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ハロウィーンの主役はなんといってもカボチャパンプキン灯(Jack-o-Lantern)だ。私も永年、年中行事の一つとしてパンプキンに目鼻や口を彫り、中にロウーソクを点して楽しんでいたが、レイ・ヴィラフェイン(Ray Villafane)のパンプキン彫刻には兜を脱いだ。何はともあれご紹介する。編集:高橋 経

レイ・ヴィラフェイン(Ray Villafane)の創作カボチャ
これは序の口、誰にでもできる

カボチャの実はゴムのように伸び縮みはしないのだが、、、。

茎(くき)も巧みに利用されている

カボチャの原型から思いついたに違いない

茎を巧みに利用したもう一つの例

カボチャ彫刻の極地。誰もこれがカボチャからとは思えない

2012年10月19日金曜日

チョコレートよ、なくならないで!

志知 均 (しち ひとし)
2012年10月

シャンソン『枯葉』で唱う「The falling leaves drift by the window, the autumn leaves of red and gold」の季節になった。ハロウィーンも近い。私達の住む地域に子供のいる若い家族が最近増えたので、今年は「Trick or treat(トリック・オア・トリット)」に来る子供が多いかもしれない。ハロウィーンで子供に渡すキャンデーはチョコレート・キャンデーが多い。いつも余分に用意するので、残った分は私が朝食後のコーヒーと一緒に食べることになる。

子供のメルヘンの世界にチョコレートは欠かせない。たとえば 『ウイリィ・ウォンカとチョコレート工場(Willy Wonka & the Chocolate Factory)』 の話(ロールド・ダール:Roald Dahl の子供向けの話 (1964) がミュージカル(1971) になって有名になった)。





貧しい家庭に育った少年チャーリー・バケット( Charlie Bucket) が買ったチョコレートの包紙に大当たりの金賞が入っていた。チョコレートを買った世界中の多数の子供の中で金賞をあてたのは Charlie を含めてたったの5人。この幸運な子供たちは Willy Wonkaのチョコレート工場へ招待される。色々なものがチョコレートでできた工場内を案内された子供たちは、やってはいけないという約束を破って、こっそりつまみ食いをしたり飲んだりしてしまう。ただ一人 Charlie は約束を破らなかった。Mr. Willie Wonka は Charlie が正直なのを認め自分の跡継ぎに選ぶ。メデタシ、メデタシ。この話はチョコレート工場だから子供たちが楽しむが、これがチーズ工場だったら臭くてメルヘンにならない。

しかしチョコレートは本来大人の嗜好品であった。古代マヤ人にとって神聖な食べものであったチョコレート(ココア)は1500年代にヨーロッパへもたらされ、王侯貴族や富裕階級にココア飲料として供された。フランスの Louis XV皇帝や、稀代の好色家カサノバ(Casanova)はココアに催淫効果(Aphrodisiac)があるということで愛用した。チョコレートはこうした背景や、恋人への高価な贈り物として喜ばれることからロマンチックな愛情表現と結びついた。ただし催淫効果についてはいまではあまり信用されていない。


現在、世界で年間に消費されるチョコレートはコストにして900億ドルに達する。チョコレートを合成するカオの木(Theobroma cacao)は赤道の南北18度の地帯にしか生育しないので栽培はきわめて限られている。カカオのサヤ(pod)から集めたタネ(seed)を醗酵させ乾燥してできるココアからチョコレートを作る。マヤ人がチョコレートを神聖な食べ物とよんだのはそれに薬理作用があることを知ったからであろう。最近判ってきた効果としては、ココアに含まれるフラボノイド(flavonoid)の抗酸化性、血圧や血中LDLコレステロールを下げる効果、抗炎症活性、ココアの成分であるセロトニン(serotonin)による抗欝作用、同じくココア成分のセオブロミン(theobromine)の抗菌作用による虫歯予防などがある。このようにチョコレートは嗜好品としてだけでなく薬用としても用途があるので今後の需要が高まることはまちがいない。


焙じたカカオのタネ
ところが…マスコミがあまり騒がないので一般に知られていないが、チョコレートの原料を生むカカオの木が、絶滅とまではいかないまでも極度の脅威にさらされている。その原因は、地球全体の気象変化、病菌、害虫の被害、カカオ栽培農民の貧困などである。世界のココアの70%がアフリカ西部の諸国(アイヴォリーコースト、ガナ、ナイジェリア、カメルーンなど)で生産される。残りはブラジル東南アジアの諸国(インドネシア、フィリピン、ベトナムなど)で作られる。カカオは中米のエクアドルメキシコ原産であるがポルトガル人、スペイン人によってアフリカやアジアへもたらされた。

カカオの木は高温多湿を好むが近年の気象変化のため雨量不足で育ちが悪く、逆に開花期に集中豪雨があると花が散らされてしまう。病虫害としては、カカオのサヤにとりついてタネをできなくする菌の害(frosty pod rot)や、サヤに穴をあける(ガ:pod borer)の被害がある。後進国、特にアフリカでカカオ栽培に従事する者は貧農が多く、肥料や殺虫剤などを十分買う余裕がない。また労働の割りに収入が少ないのでカカオ栽培を止める者も増えている。現状を放置すれば2020年までにカカオ生産量は現在の半分になるといわれる。ではどうすればよいか?栽培技術の改良、灌漑の完備、病虫害に対する抵抗性を高めるための品種改良などやることはいろいろある。しかし、カカオ栽培は主食作物の栽培ではないので生産国の政府の支持が期待できない。Bill & Melinda Gates財団などがアフリカのカカオ栽培農業の改善に財政援助を始めていると聞く。こうした援助活動が増えることが切望される。

敗戦後、まだ日本人が食糧難で飢えていた頃、闇市で買ったアメリカ製のチョコレートの美味かったこと…庶民には高価だったが。そんな時代を思い返して気がついた。輸出振興で景気がよくなり、所得倍増政策で国民の生活レベルが上がってくるにつれ、食生活が贅沢になりチョコレートは簡単に入手できるようになった。チョコレートが買えるかどうかは生活水準の指標のひとつになっていたのだ。現在の中国のように中産階級が増えている国ではチョコレートが買える人の数が増えているに違いない。他方、貧しくて内戦やテロ行為が続いている国ではチョコレートを買う余裕のある人口は少ないことだろう。


時代は違うが、いみじくも啄木が詩に書いている。「…冷たるココアのひと匙を啜りて、そのうすにがき舌触りにわれは知るテロリストのかなしきかなしき心を」。

誰もが甘いココアの味を楽しめる世界にしたいものだ。

2012年10月12日金曜日

マララの回復を!


暴力で幼い少女の願いを抹殺することはできない。
マララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai; 14)の夢は必ず実現する。
ひたすら、回復を祈る。

2012年10月8日月曜日

村上春樹の英語版15册



著者の思想を視覚化するデザイン

DesignTaxi.com のサイトから抜粋


村上春樹
出版社ヴィンテッジ (Vintage)村上春樹の作品を英文に翻訳して出版する際、その表紙をイスラエル生まれでロンドンに住むグラフィック・デザイナー、ノマ・バー (Noma Bar)を指名した。

完成した15册の表紙は下掲の通り。ご覧のように一部の例外を除き、赤と黒の2色、それと円形、という一貫したイメージで構成された。赤と円が『日の丸』を連想させるが、その辺に関する作者の意図は明らかではない。

ヴィンテッジのブログによると、村上が書く現実あるいは幻想で隠されたり失ったものに対する感覚を表紙のデザインで表現させた、とのことだ。デザイナー、バーのグラフィックによる視覚表現の陰に、その第二義的なイメージと幻覚を潜めさせた。複製はシルクスクリーンの技法を利用し、個性的な柔らかさを出している。

デザイナーのバークリエイティブ・レヴュー誌(Creative Review)に、「表紙のデザインを注意深く観察していただくと、ムラカミが作品で書いている裏に潜む新しい意味が、パズルのように層に重なっている私のグラフィックの奥から発見できるでしょう」と、その自負を語っていた。

(左から)『海辺のカフカ(2002)』、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(1985)』、
『アフター・ダーク(2004)』

(左から)『アンダーグラウンド(1997)』、『スプトニクの恋人(1999)』、『地震のあとで(1999)』


(左から)『象の消滅(1985)』、『羊をめぐる冒険(1982)』、『ねぢまき鳥のクロニクル(1992-3)』

(左から)『What I Talk About When I Talk About Running (原題不明)』、『ノルウェイの森(2010)』、
『バースデー、ストーリーズ(2002)』


(左から)『国境の南、太陽の西(1992)』、『ダンス、ダンス、ダンス(1988)』、『めくら柳と眠る女(1983)』

2012年10月2日火曜日

世界の素敵な喫茶店(Coffee Shops)駆け巡り

クレア・コットレル(Claire Cottrell)
2012年10月1日
T.S. エリオット(T.S. Eliot)は、20世紀中に最も傑出した英国の詩人に違いないと思う。彼は「私の人生はコーヒーのサジ加減で測れる」と見事な表現をしている。私は諸手を挙げて共感する。アメリカはニューヨークからサンフランシスコまで、ヨーロッパはスカンジナビアからスペインまで、そして極東は日本、コーヒー党は夜明けからコーヒーなしではその一日が始まらない。熟練した手で、コーヒーの豊かな、艶やかな、カフェインをたっぷり包んだ豆を焙じて、古風な機械ですりつぶし、香り高い琥珀の液体が絞り出される。
何はともあれ、仮想の世界旅行に出かけて、あの国、この土地で香りを漂わせ、ムードを醸し出している素敵な喫茶店の数々を駆け巡り、そこから漂ってくるコーヒーの芳香に思いを馳せて愉しむのも一興であろう。

AIA Coffee & Restaurant: ポルト(Porto)、ポルトガル
Zmianatematu: ポーランド
D’espresso: ニューヨーク、アメリカ
Coutume Café: パリ、フランス
Loveat Jaffa: テル・アヴィヴ(Tel Aviv)、イスラエル
Handsome Coffee: ロサンゼルス、カリフォルニア州
Coffee Collective:コペンハーゲン、デンマーク
Koppi Kaffe & Roasteri: ヘルシングボーグ(Helsingborg)、スエーデン
茅場コ-ヒー:東京
Little Nap Coffee Stand: 東京
Coava Brew Bar:ポートランド、オレゴン州
Four Barrel Coffee: サンフランシスコ
Blue Bottle Coffee: サンフランシスコ
Blue Bottle Coffee:ブルックリン、ニューヨーク
La Colombe Torrefaction: ソーホー(Soho)、ニューヨーク
Callas Cafe: ブダペスト、ハンガリー
LAMILL Coffee Boutique: シルバーレィク、カリフォルニア州
Confiserie Bachmann: バセル(Basel)、スイス
Starbucks Coffee Shop: 福岡市太宰府
Balzac’s Coffee Roastery: トロント(Toronto)、カナダ

編集から:以上、いずれかの店の所在地をお望みでしたらお問い合わせください。全部の用意はありませんが、できる限りお知らせいたします。