2012年2月27日月曜日

一億人を白痴化するテレビ


今は昔、毒舌で知られた大宅壮一(おおや そういち)なる評論家が、テレビ番組を手厳しく批判し、「今日のテレビ番組は我が国民一億人を白痴にする意図をもって制作されている、としか考えられないほど低俗で悪趣味なものばかり放映し、見るに耐えられない」と告発したことがある。かくして『一億総白痴化』なる言葉だけは流行したが、実際のところ大宅の諌言は一向に功を奏さなかったようだ。

理由は単純、テレビ局側の本音は、『白痴化』の意図より『視聴率』を上げることの方が先決問題で、一人でも多くの視聴者を獲得し、制作費を負担してくれるスポンサー、つまり番組の合間にコマーシャルを流す広告主を喜ばせることに汲々としていたのである。

もちろん『全て』のテレビ放送局が競って俗悪番組を制作しているわけではない。その一方で、スポンサーの要らない公共テレビ局が良心的な教育番組を提供していることに言及しなければ不公平の誹りを受けなければなるまい。

その良心的な番組については、いずれ稿を改めて論じることにしよう。

俗悪番組の制作を語る限りにおいて、その発想や社会組織から観察すると、消費経済の元凶であるアメリカに端を発していることは周知の通りだ。そこで本日のニューヨーク・タイムズ紙が取り上げた論争をご紹介し、読者の良識にによって判断されることを期待する次第。 編集:高橋 経
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テレビの視聴者は白痴になるか?

テレビのスイッチをひねって現れてくる画面を一瞥したとき、我々人類の頭脳は発達しているのか?それとも劣化させられているのか?と考えさせられてしまう。誰もが同じような印象を受けているかどうか、『その筋』のベテランのご意見を伺ってみた。

2012年2月14日火曜日

回顧:ホイットニィ・ヒューストンの歌声

生前、5千500万枚以上のレコードを売り尽くし、去る11日の死後もなお、爆発的なファンの買い手が殺到している稀代なポップ歌手、ホイットニィ・ヒューストン(Whitney Houston)のヒット曲の一部を観賞してください。YouTubeより選択編集:高橋 経

あなたのことばかり』"I Look To You" 4:26 分


2012年2月13日月曜日

哀悼:ホイットニィ・ヒューストン

スーパー・ボウルでアメリカ国歌を歌ったヒューストン;1991年
ニュージャージー州ウエスト・オレンジの家で;1985年
ホイットニィ・ヒューストン
Whitney Houston
48才、歌手:
1964〜2012


また一人 薬に溺れ 流れ星(ながれぼし:スター逝く)


2012年2月7日火曜日

タフな女達が創ったファッション


革ジャンパーが極め手
もう一年以上経つが、志知均さんが(暇つぶしに)愛読した『ドラゴンの刺青をした女(The Girl With the Dragon Tattoo)』と題したスエーデンの小説をご紹介くださった。同書は世界的なベストセラーとなり映画化もされた。その主人公は性的暴行の犠牲者だったが、一転してタフな復讐者に変わる、というのがプロットの本筋である。つまり『タフな女』がうけた、と言ってしまったら単純すぎるが、今回はその『タフな女』が、流行に敏感なファッション界に多大な影響を与えた話題に焦点を定めた。

左から:『ドラゴンの刺青をした女』のルーニー・マラ;『ヘイワイヤー』のジナ・カラノ;
『空きっ腹ゲーム』のジェニファー・ローレンスが演ずるヒロイン達
『タフな女』は『刺青女』に限らず古今東西、活躍し続けていた。日本では巴御前に始まって神功皇后から、今日では少女コミックなどにしばしば登場している。アメリカでもご他聞に洩れず、『ワンダ・ウーマン』、ハイテク人造の『バイオニック・ウーマン』などが過去人気を集めた。最近では『刺青女』の前後に、頭脳の回転が早く腕っ節が強いヒロインが何人か登場している。
左から:カフス;イアリング;革ジャンパー;針ねずみネックレス;さそりカフス

彼女らの服装といえば、何と言っても革ジャンパーが極め手のようだ。いずれも、悪漢の荒くれ男たちを向こうにして戦うのだから、身なりや持ち物、アクセサリーもそれ相当に『タフ・ガール』らしい武骨な金属製でなくては格好がつかない。

左から:ジヴァンシィ出品;バレンシアガ;ルイ・ヴィトン;アレキサンダー・マクイーン;
アレキサンダー・ワングがそれぞれ出品
かくして、昨秋のファッションショーで、デザイナー達は競ってそうした『タフ・ガールズ』の着衣やアクセサリーを取り入れて発表した。まあ、貴女や貴方のガールフレンドか奥さんが、こうした『革ジャン』ファッションを受け入れるかどうかは別にして、ファッションとはそういうものか、とご理解して鑑賞いただきたい。編集---高橋 経 (資料は2月1日付けNYTから抜粋)