人気ヴォーカル・トリオ、 ピーター・ポール&メリー(Peter, Paul and Mary)のメリー・トラヴァース(Mary Travers)が16日(水曜)に亡くなった。4年前、白血病と診断され、骨髄の移植手術をし、化学療法を続けていたが寿命が尽き、コネチカット州ダンバリー病院(Danbury Hospital)で息を引き取った。享年72才。
1961年、ブロンド長髪が特長のメリーは歌手として、二人の男性ギタリスト歌手、ピーター・ヤロウ(Peter Yarrow)、ノエル.ポウル・ストゥキィ(Noel Paul Stookey)らと一緒にトリオ、コーラス『ピーター・ポール&メリー』と名乗りニューヨーク、グリニッジ・ヴィレジ(Greenwich Village)の喫茶店「ビター・エンド(Bitter End)」で初登場した。
翌年には始めてのアルバム『ピーター・ポール&メリー』を発売、その中には『500マイル(500 Miles)』、『レモンの木(Lemon Tree)』、『すべての花はどこへ消えた?(Where Have All the Flowers Gone?)』、ピート・シーガー(Pete Seeger)作の『天使のハンマー(If I Had a Hammer: Hammer Song)』などヒット曲の数々が含まれ、ビルボード誌(Billboard)のトップ・テンに10ヶ月連続して人気の頂点に立ち、その後3年に亘ってトップ100を維持し続けていた。ヒット曲には『魔法のドラゴン(Puff the Magic Dragon)』、ジョン・デンヴァ(John Denver)作の『悲しみのジェット機(Leaving on a Jet Plane)』、ボブ・ディラン(Bob Dylan)作の『風に吹かれて(Blowin' in the Wind)』などがある。
時あたかもアメリカがベトナム戦争の泥沼にのめり込んだ時代で、同時代の反戦歌手たち:ピート・シーガー、ジョン・バエズ(Joan Baez)、ボブ・ディラン、等と並んで全世界の若者たちから人気を獲得した。その後も引き続きグループは、公民権運動や社会的正義を唱える運動の第一線に立ち続けてきた。
1970年、トリオは解散してソロ活動に入ったが、トリオ当時の成功は期待外れだった。8年後の1978年、3人は同名で再結成し、中米の平和運動の支援、原爆核兵器反対運動の支援などのコンサートに参加演奏し、以来年間40回というコンサート・ツアーを実現させた。1999年ヴォーカル・グループ部門でポップ音楽の殿堂入り(Vocal Group Hall of Fame)を果たした。
2007年2月には、北朝鮮による横田めぐみ拉致問題の解決を願う『メグミを歌う(The Song for Megumi)』を発表、収益は救出活動に寄付。同年5月に来日、同問題支援コンサートを開催した。
晩年メリーは、音楽雑誌ゴールドマイン(Goldmine)のインタビューで「(年配の)人々に会うと、よく言われるの。『私たちは貴女たちの歌を聞いて育ったよ』ってね。で、『私たちもね、歌で育ったわ』って答えたの』と語っていた。
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アルバムのリスト:
- 1962 『Peter, Paul and Mary』
- 1963 『(Moving)』
- 1963 『In The Wind』
- 1964 『In Concert』
- 1965 『A Song Will Rise』
- 1965 『See What Tomorrow Brings』
- 1966 『Album』
- 1967 『Album 1700』
- 1967 『In Japan』
- 1968 『Late Again』
- 1969 『Peter・Paul and Mommy』
- 1970 『Ten Years Together』
- 1978 『Reunion』
- 1983 『uch Is Love』
- 1986 『No Easy Walk To Freedom』
- 1988 『A Holiday Celebration』
- 1990 『Flowers & Stones』
- 1993 『Peter, Paul and Mommy, Too』
- 1995 『PPM& (Lifelines)』
- 1996 『Lifelines Live』
- 1998 『Around The Campfire』
- 1998 『The Collection』
- 1999 『Songs of Conscience and Concern』
- 2004 『Carry It On』
- 2004 『In These Times』
1 件のコメント:
元々大柄な女性でしたが、晩年のメリーは肥満に悩まされていたようです。白血症だったと聞いてうなずけます。
でも懐かしい1960年代です。動乱の時代に新鮮な歌声は今聴いても泣きたくなります。
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