2009年11月21日土曜日

刺激政策と輸出で日本の不況が救えるか

[お断り:この記事は英語に翻訳された評論を再び日本語に戻したものです。原文と異なる表現があるかも知れませんが、筆者の意図は掴んでいるつもりです。]


田淵 ひろ子(たぶち ひろこ)
NYT;11月15日掲載


東京発:去る7月から9月までの第三期における日本の経済は、しっかりと年額4.8パーセントの上昇を示した。これは消費刺激策と、輸出が回復の傾向を示したためで、戦後最悪の不況から脱出できそうだ。

政府が11月9日、去る月曜日に発表したところによると、国内総生産額は第三期に前四半期より1.2パーセント上昇し、これは年額4.8パーセントの上昇率に等しい、とのことだ。2期続けて上昇を見せたということで、世界的な経済危機から回復している証拠であるとも言える。

先週、ユーロ地域の16カ国の経済は、過去の6期で初めて、9月までの第三期の3ヶ月に0.4パーセント上昇したと発表。アメリカの国内総生産が、9月で終った第三四半期は3.5パーセント拡大したのは、経済刺激政策によるものだとしている。


日本の経済状況の予測は、初期の見積もりでは、ブルームバーグ・ニュース(Bloomberg News)が経済専門家20名に聞いた観測によると復活には時期尚早だとし、2.9パーセントの上昇が妥当であろうとのことだった。しかし、日本の先行きは依然として不明で、新内閣は回復の兆しが見えたところで刺激政策に手加減をする方針らしい。


ニッセイ基礎研究所の経済主事ハジ・コウイチ氏は「我々の国内消費がやっと、そして可成り急速に復活の傾向を見せました。これは経済の下落が底に着いたことを示しています。しかし、この復活は主に政府の経済補助のお陰ですから、本格的な成長度は遅々としています。従って、我々が最悪事態を脱したと思うのは時期尚早です」と分析している。


企業が積極的に投資することによっても回復の役に立つ。資本投資額は第三期では予想を上回る1.6パーセントに昇った。一年半振りの上向きである。国際的な各国政府の刺激政策のお陰で、世界的に輸出は6.4パーセント上昇し、貿易の復活に寄与した。


日本国内での消費者支出は0.7パーセントの上昇を示し、金額にして20兆円以上、経済回復の三分の二を担っている。特に政府が省エネ型の家庭電化製品燃費の良い自動車の購入に報奨金を出したことで、トヨタ自動車や、ソニーのような家電メーカーの販売を促進した。


需要の増加を受けて、トヨタ日産などのメーカーは今年度の利潤の予測を書き換えている。同時に、日本の輸出産業は、円高の圧力による競争力の弱さを補わねばならないという対策も迫られている。


昨今の事業拡張は、世界的な経済破綻による損失を補う程度に抑えている。日本の銀行は昨年の経済破綻の震源地ではなかったとは言え、輸出の没落によって5年分の経済成長が水の泡となり、国家的な困窮に陥った。

工業生産は、いまだに昨年までの五分の一が減産となり、失業率は5.3パーセントとほぼ記録に近い人数となった。デフレが猛威を振るい、利益や収入が激減した。


日本経済の虚弱な復活にも拘らず、鳩山由紀夫首相(左の写真)は公共事業への投資に対して厳しく批判的な方針をとっている。去る8月に圧倒的な勝利で議席を勝ち取った日本の鳩山民主党(上の写真;日没の日の丸は、NYTのジョーク)は、先の与党が設定した2.9兆円の経済刺激対策の予算を差し止め、来年まで保留することにした。

鳩山首相は、その予算を児童福祉や学費(授業料)の軽減に当てる助成金など、社会保障関係に回す計画であることを発表した。月曜日、内閣府特命担当大臣、間直人(かん なおと右の写真)の言によると、政府は追加予算を立て、失業対策や環境保護に当てる計画を立てているとのことだ。

増大する失業問題を緩和する受け皿として出産率を高めるのを助ける案件について、経済専門家たちは、その成果が実現するまで年月がかかるし-----そのような遅延は、短期間での経済回復には逆効果となる、という意見をもっている。


ニッセイ基礎研究所ハジ氏「民主党が現実的な投資予算を国民への投資に振り替えるのは、円滑な推移であることが望ましい。国民の一人一人が収入のために働き、今は出費を控える、ということは経済上の直接的な損失です。民主党の方針が実施される前に、我々はスランプ状態を味わうことになるでしょう」と憂慮している。


政治批評家も、鳩山首相の財政策により、5兆円の経済(国家予算のことであろうか)の2倍にもふくれ上がり、負債が増加する日本にとって余計な負担となるであろう、と警告する。先週、フィッチ・レィティング代理店(The Fitch Rating Agency)は、もし政府が支出の制御に失敗したら、日本の公共負債の評価が落ちるであろうと警告した。


日本の経済復興の不確実性は、東京の日経インデックスに敏感に影響した。企業の利益が復活しているにも拘らず、インデックスは7月以来、1.8パーセントの下落を示している。

1 件のコメント:

JA Circle さんのコメント...

『消費』が経済を活性化させる、という理論がチラついているのが気になります。