7月6日(日本時間で7日)、元アメリカ国防長官、ロバート・マクナマラ(Robert McNamara)が93才で亡くなった。
この所、有名人の死亡ニュースが続いた。
6月25日、歌手のマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)がロンドン公演のリハーサル中に死亡、50才。7月1日ベテラン俳優カール・マルデン(Karl Mulden)が96才で死亡、そして6日、マクナマラの死亡が報道された。いずれも、話題の多い人物たちだが、ジャクソンの死亡およびその原因調査、華麗にして壮大な葬式演奏会の報道が圧倒的にマス・メディアを独占したため、マルデンはおろか、マクナマラに関わる報道は大幅に削られてしまったようだ。
そうしたジャクソンの狂想曲の陰で、8日付け朝日新聞の『天声人語』子、毎日新聞の『余録』子が揃ってマクナマラについての評論を発表していた。
『天声人語』子は結びに「晩年は沈黙を破り、回顧録やドキュメンタリー映画で『ひどい過ちを犯した』と率直に語っていた。人生で得た教訓の一つが『人は善をなさんとして悪をなす(In order to do good, you may have to engage in evil)』だったという▼5年前、かつてベトナム反戦の中心だった母校カリフォルニア大バークリー校に招かれた。そして『人類は20世紀に1億6千万人を殺した。21世紀に同じ事が起きていいのか。そうは思わない』と力を込めた。深い悔恨をへてたどり着いた、重い確信だったに違いない。」と記し、『余録』子は「狂気(MAD*)を生んだマクナマラ氏も回顧録の言葉のように晩年は核廃絶に向けた現実的アプローチを提唱した。北朝鮮のような無責任な国への核拡散や核テロなど、今や前世紀の抑止戦略が機能しない新たな核の恐怖に脅かされる21世紀である▲ビンから出た魔物が人目を盗んで増殖・拡散すれば、そのすべてを元に戻すのは容易な話ではなかろう。耐用期限の切れた戦略で管理しきれなくなった魔物は、少しでも早くビンに戻していくのが核保有国の義務である。」と結んでいた。(*MADは『相互確証破壊』の英語の頭文字)
マクナマラの生い立ち

アメリカ空軍の士官に

フォード自動車の社長に就任
1946年に除隊すると同時にフォードに入社。当時経営不安定だった同社を改革すべくチャールス・ソーントン(Charles "Tex" Thornton)の下に結成されたチームに参加し、経営企画、財政分析などを手始めに、迅速にその地位が昇格していった。無用な大型車の製造を排し、リンカーン部門の廃止まで提言したが、これは実施されなかった。1960年型ファルコン(Falcon)のような経済車を強く推進した。安全性も強調し、積極的にシート・ベルトや操縦装置の欠陥改良を行った。

国防長官に抜擢され、そして、、、
マクナマラとケネディの繋がりの経緯は省略するが、フォード社長就任、僅か5ヶ月でマクナマラは国防長官の重責を担うことになった。


2003年、ドキュメンタリー映画製作者エロール・モリス(Errol Morris)(右の写真)がマクナマラ自身の解説付きでこの『戦争の霧』を撮り上げた。翌2004年、この映画はドキュメンタリー部門でアカデミーの最高賞を獲得した。『霧』は直訳だが、それを『不透明』、『暗黒』いずれを採るかは読者(鑑賞後)の解釈次第だ。この1時間47分のドキュメンタリーで、マクナマラが関わった全てが克明に描かれている。アメリカの政治や国防の内面を知る上で重要な参考になるから、ビデオ店から借りて鑑賞なさることを推薦する。

時あたかも、この日のニュースが、マイケル・ジャクソン葬送狂想演奏会に圧倒されていたのが、何と言っても残念だった。
1 件のコメント:
マクナマラが自戒をこめた自身の教訓11項目の一つに「人間の性(さが)を変えることはできない」という言葉があります。どんなに懲りても人が人を傷つけることを止めない様を見聞きするにつけ、「性を変えられない」というのは本当かな、とも思いますが、それでは余りにも救いがありません。矢張り努力してでも、悪い性を変えるべきだと思います。
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