
今日のコンピューター・グラフィック(Computer Graphics: CG)、色彩デジタル、大型スクリーン、ステレオ音響効果、3D立体映像などを駆使した映画技術を見馴れた観客にしてみれば、技術的に比較する対象とはなり得ないことは言うまでもないが、今から80年余りもの昔、白黒、無声映画という時代の背景で製作されたことを考えると、この映画の骨董的価値は類いのない傑作と評価される値打ちは充分以上にある。

物語りの内容は73年後の未来、すなわち2000年を想定している。巨大な摩天楼群がそそり立つ未来都市が舞台、これは監督製作のフリッツ・ラングがニューヨークを訪れた時に見た摩天楼に刺激を受けたのだと伝えられる。例の経済大恐慌の直前で、ニューヨークには世界中どこの都市にも見られない活気が溢れていたことであろう。


結果は映画を見てのお楽しみ、ということにしておくが、この映画、結びの鍵となる警句フレーズが「頭脳の働きと手足の動きを取り持つのは心である(The Mediator between Brain and Hands must be the heart)」としている。誰が『頭脳』で、『手足』は誰、そして誰が『心』の役割をそれぞれ果たすのかが、この映画のフィナーレとして結着する。(右は書籍版)


その後に起こった第二次世界大戦など、年月を経るに従ってラングの原作映画のフィルムは影をひそめ『幻の映画』として歴史の彼方に葬り去られてしまったかに見えた。(右は発見されたフイルム缶の一つ。左はフィルムの編集作業。)


先ず『完全修復版』の再公開の封切りは、ハリウッドの名門劇場、グロウマンのチャイニーズ・シアタァ(Grauman's Chinese Theatre)で4月に、つい先日はニューヨークのジーグフェルド・シアタァ(the Ziegfeld Theater)で2週間にわたって公開された。

修復関係:
• Friedrich-Wilhelm-Murnau-Stiftung, Wiesbaden (jointly with)
• Deutsche Kinemathek — Museum Für Film and Fernsehen, Berlin
• (in associate with) Museo del Cine Pablo C. Ducros Hicken, Buenos Aires 修復援助関係:
• Beauftragter der Bundesregierung für Kultur und Medien
• Gemeinnütziger Kulturfonds Frankfurt Rhein Main CmbH
• VGF Verwertungsgesellschaft für Nutzungsrechte an Filmwerken
その他の貢献者、資材提供、監修者、など、アルゼンチン、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、イタリー、15団体および個人
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なお、『メトロポリス』の予告編、本編、その他がYouTubeで下記の通り公開しているから、リンクをクリックして垣間みることをお奨めする。


予告編 http://www.youtube.com/watch?v=ZSExdX0tds4
修復版 http://www.youtube.com/watch?v=zAuSEdPbqmo
1 件のコメント:
映画には監督/制作者の思想が反映しています。映画の影響力を考えると、映画製作には社会的な責任があるようです。単純な言い方をすれば、映画は矢張り『ハッピー・エンド』『勧善懲悪』が本筋ですね。そういう意味で、クリント・イーストウッドの作品には彼の正当な信念が込められています。『メトロポリス』も難しい時代だっただけにラングは空想映画に託して、人間性を訴えていたのだと思います。
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