ジョアン・マンソン(JoAnn E. Manson, MD, DrPH)
医学博士 ハーヴァード・メディカル・スクール(Harvard Medical School)
医学博士 ハーヴァード・メディカル・スクール(Harvard Medical School)
コーヒーが健康を害するとお考えの方、ご安心あれ。数々の調査の結果、適量のコーヒー、、、一日にコーヒー・カップ2杯から4杯、、、なら、むしろ健康のために良いことが判った。
今の所、コーヒーそのものが『健康に良い』のか、含まれているカフェインの作用かが明快ではない。『カフェイン抜き(decaffeinated)』のコーヒーにもその他の飲料、例えばお茶にも多少のカフェインが含まれている。カップ一杯のコーヒーには約100ミリグラムのカフェインが、紅茶にはその半分が含まれている。調査によると、コーヒーは、、、
◆ ある種の癌(ガン)発生を抑える効果:9種目の調査における分析によると、毎日カップ2杯のコーヒーを飲むと、肝臓ガンの発生率を43パーセントに抑えられる。また、コーヒーは結腸ガン、直腸ガンの予防にもなる。
◆ 糖尿病の予防効果:20万人を対象とした調査で、その内一日に4杯から6杯のコーヒー(『通常』、『カフェイン抜き』に拘らず)を飲む人々は、2杯以下しか飲まない人々より、タイプ2型、糖尿病の発生率が28パーセント抑えられる。
<理由>コーヒーに含まれているクロロジェニック酸(chlorogenic acid)、反オキシダント(antioxidant)が、血管に流入する糖分を妨げる効果をもっているからだ。
◆ 記憶力を保護:7千人の老人男女を対象に調査した結果、通常のコーヒーを一日3杯、又は通常のお茶を6杯以上飲む人々は、2杯以下しか飲まない人々に比べて記憶喪失率が低かった。
◆ 胆石の予防:8万人の看護婦を対象に調査した結果、一日2杯以上の通常コーヒーを飲む人々は胆石の発生率が20パーセント低かった。
<理由>カフェインが消化胆汁の働きを助け、コレステロールの結晶が形成して石化するのを抑え、胆嚢(たんのう)の収縮活動を刺激し、コレステロールが結晶するかしない内に排泄させるからである。
◆ パーキンソン氏病の発生を抑制:上記の看護婦を対象とした調査では、一日に1杯から3杯のコーヒーを飲む人々は、飲まない人々に比べてパーキンソン氏病(脳細胞の損失により筋肉の動きに不調が生じる症状)の罹病率が40パーセントも低かった。
◆ 身体の動作を向上:一日に2杯から5杯のコーヒーに含まれているカフェインは身体の耐久力を向上させる。体内の脂肪が蓄積されて炭水化物になる代わり、脂肪を燃焼させる働きをし、筋肉痛をやわらげる効果がある。
◆ その他の効果:コーヒー党は、コーヒーを飲まない人々に比べて、心臓マヒや高血圧などの障害になり難い傾向がある。コーヒーに含まれている脂肪分はコレステロールを高めるが、紙製のフィルターを使ってコーヒーを濾過すれば脂肪を抜くことができる。
(女性の場合)コーヒーが卵巣ガンや乳ガンの元凶になるという証拠は見当たらなかった。一部の女性は、コーヒーが生理前症候群や、線維性胸部疾患(良性の乳腫瘍)を悪化させると考えているが、調査の結果では何の証拠も見付からなかった。
ご注意:コーヒーはカフェインの多少に関わらず、消化不良の原因になることがある。またカフェインは、偏頭痛、不眠症、などを誘発する場合もある。動物実験によると、多量のカフェインを与えるとカルシウムの吸収を妨げて骨を弱くする、と報告されている。適量の摂取なら受胎障害や出産障害の怖れはないが、一日に200ミリグラム以上のカフェインを摂取すると流産の可能性が倍加する恐れが生じる。妊産婦にとっては、一日100ミリグラム以下のカフェイン摂取なら無難であろう。
何事でもそうだが、『過ぎたるは及ばざるが如し』であることをお忘れなく。
1 件のコメント:
この10年来、カフェイン抜きのコーヒーにしていましたが、これで安心して通常のコーヒーの味を楽しめます。要は、飲み過ぎなければいいんですね。
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