人類がこの状態を続けている限り、遠からずエネルギー源が枯渇するか、地球が破壊されるかして我々は絶滅を余儀なくされるであろう。地球上の人類が破滅するのを避けるにはどうしたらよいのだろうか?有害な煙を大気に排出する産業を糾弾して生産を止めさせるべきか?地球上を走り回る交通機関を一切廃止するべきか?
温暖化の元凶は明白に判っていながら、それらを廃止することが殆ど不可能なまで、我々の生活は元凶たちの恩恵に甘んじ過ぎてきた。産業界や交通機関を糾弾する前に、我々の暮らしを振り返ってみよう。次に掲げた家庭が排出するエネルギーのリストを一つ一つ検討してみると、家庭が排出する二酸化炭素があなどるべからざる量であることに驚かされる。
専門家の計算によると、アメリカ中で排出する二酸化炭素の43%が一般住宅で消費するエネルギーによるものであるという結論が出た。中でも1939年(昭和14年)以前に建てられた住宅は適正な断熱材を使っていなかったので、昨今建てられる住宅に比べて50%以上もエネルギーが無駄に消費されている。一方、数年前の建築ブームに乗って建てられた住宅は、1970年代の住宅に比べて2倍も室内が広いため、冷暖房用のエネルギーに2倍の消費を要するという現象が起こっている。幸か不幸か、昨年の経済破綻で差し押さえ家屋が100万戸単位で増えたため、最近建てられる住宅は、小型化に逆戻りしているようだ。
では先ず、アメリカで一家庭単位に排出する二酸化炭素(CO2)の平均値リストをご覧いただきたい。 (単位はポンド/キログラム:数字はNGSの統計を参照した)
- 石油暖房設備:14,380/6,523
- 自家用車1台:11,903/5,399
- ガス暖房設備:6,967/3,160
- 電動ヒート・ポンプ:5,249/2,381
- 石油湯沸かし設備:4,331/1,965
- セントラル冷房:4,067/1,845
- 電気湯沸かし設備:3,586/1,627
- スパ浴槽:2,774/1,258
- 屋内灯:2,270/1,030
- ガス湯沸かし設備:2,171/985
- 電気乾燥機:1,521/690
- プール用ポンプ:1,496/679
- 冷凍庫:1,397/634
- 冷蔵庫:1,191/540
- 個室冷房機:872/396
- 電気レンジ:628/285
- 暖房扇:606/275
- ディッシュワォッシャー:599/272
- テレビ:548/249
- ガス乾燥機:435/197
- 卓上コンピューター:321/146
- (熱帯魚などの)水槽:286/130
- ケーブル・ボックス:182/83
- マイクロウエーブ:179/81
- ステレオ:167/76
- 洗濯機:153/69
- 屋外灯:150/68
- モニター:116/53
- 天井扇風機:115/52
- ラップトップ・コンピューター:98/44
- 防犯システム:83/38
- コーヒー沸かし器:83/38
- アイロン:72/33
- VCRプレーヤー:64/29
- 掃除機:57/26
- ヘア・ドライヤー:57/26
- トースター:53/24
- DVDプレーヤー:51/23
- コードレス電話:36/16.3
- インク・ジェット・プリンター:35/15.9
- ポータブル・ラジオ:23/10.4
- コードレス電動器具:22/10
- 目覚ましラジオ時計:21/9.5
- デジタル・カメラ:19/8.6
- 充電可能の玩具:17/7.7
- 電動歯ブラシ:16/7.3
- MP3プレーヤー:8/3.6
- PDA:8/3.6
- けいたい電話:5/2.3
- カムコーダー:3/1.4
- 電気剃刀:1/0.45
ご覧のように、どの設備、どの器具も、誰にとっても必要不可欠なものばかりだ。だからといって使用を諦めないまでも、使用量を減らすことは可能である。
冷蔵庫、冷暖房器などの電化製品もこの30年間で殆どがエネルギー節約型に向上してきた。
タングステン電球(左の写真)は蛍光灯式の電灯(右の写真)に移行している。全家庭が蛍光電灯になると、二酸化炭素(CO2)を年に4,240万トンも減らすことができる。
コンピューターも、使っていない時は電源を切るようにすると年に830万トンのCO2減少に、運転も一週間毎に今までより20マイル(32キロ)走行距離を減らすと年に10,700万トンのCO2減少に、更に燃費有効型の車が1ガロン(3.8リットル)毎に5マイル(8キロ)向上したとすると年に23,900万トンのCO2が減少できる。
最後に、国立史跡保存財団(the National Trust for Historic Preservation)の会長リチャード・モウ(Richard Moe)の提案を聞いてみよう。
「エネルギー節約の第一段階として、地域の電力会社またはガス会社に家屋のエネルギー消費状況を査定してもらうことだ。少額、または無料でやってくれるはずだ。技術者が家屋のどこに無駄があるか、欠点をどうして改善するかを指導してくれる。
「一般的に、エネルギーの無駄な消費は断熱材に欠陥がある場合が多い。戸や窓に隙間があることもよくあることだ。欠陥箇所をそっくり入れ替えないで修復すれば、余り費用は掛からないだろう。天井裏には断熱材が無い場合があるからこれは取り付けること。また乾燥機の排気口は使用する時だけ開くようできる。
「史跡の建物保存計画に関わった私の体験では、その古い趣きを損なわないで断熱材を取り付けたり、扉や窓の隙間を塞ぐことが可能であることが判った。
「政府でもエネルギーの節約には前向きに対処するようになってきた。その計画の一端として8兆ドル近く州政府や地方の風雪処理や有効エネルギー対策に投資した。特に低所得家庭向けに平均6,500ドルを家屋改善費用として扶助している。
「私の財団では、天然資源保護対策自治体や議会と協力し、古い家屋をエネルギー有効型に改造する計画を推進している。その提案によると、家屋の持ち主が改造してエネルギーの効率を20%向上させたら報奨金3,000ドルを与え、それ以上1%向上させる毎に150ドルを追加する、という内容だ。この方式で3,000軒の家屋がエネルギー有効型に改造されたら、10年後には6,500万トンもの二酸化炭素が大気中に放出されないで済む。この量を石油に換算すると200,000,000バーレルに匹敵する。
「手作業を必要とする古い家屋の改造には失業対策の解決にもつながる。古い家屋を破壊して新しく建て直すのも結構だが、それにかかる人件費、運搬費、その他の経費を考えると、古い家屋を修復することによって、廃物の再生利用にもつながるのではないかな。」
1 件のコメント:
地球の温暖化による危機は、予想以上に早く到来するようだ。我々にできるエネルギー節約対策を実行することは、子孫の繁栄にもつながることだから真剣に考えて実行しよう。
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