志知 均(しち ひろし)
2011年7月
平均寿命はアメリカ人が78才位、日本人が82才位。いずれも、女は男より5、6年長生きで、85才の男女の比率は2対3。現在65才のシニアが90才まで生きる確率は女30%、男16%といわれる。どうして女は男より長生きなのだろうか? 2011年7月


交接は生物、特に動物にとって種族保存のための一番重要な行為であることはムシもヒトも同じである。
その行為の原動力となるのがホルモン(男はテストステロン、女はエストロジェン)で、ホルモンの違いが男と女の育児、生活態度、考え方に大きく影響する。たとえば、男は危険を冒すことを好むが、投資で大損するのは女よりはるかに多い。自動車事故による死亡率は男は女より3倍以上多い。いずれもテストステロンのなす業である。
われわれの身体は加齢と共に組織、細胞、特に遺伝子DNAの損傷が進む。幸い、それを修復するメカニズムがあるが、修復能力は女のほうが男よりはるかに高い。卵巣除去すると修復能力は低下するので、エストロジェンが関与していると考えられる。逆に睾丸除去(castration)をするとネコもヒトもオスの寿命は延びる。だいぶ以前の話だが、カンサス州のある精神病院で数百人の男性患者の睾丸を除去したことがあった。手術された患者はされない患者より平均14年長生きしたと記録されている。(じゃあ、長生きのためにオレも、、、と考えるヒトがあるかも。)
エストロジェンは抗原感作に対する抗体生成を増加するなど免疫反応を高める。テストステロンは逆に免疫反応を抑制する。免疫反応は生体の防御反応であるから女のほうが男より防御反応が高いといえるがマイナス面もある。外部から身体に侵入する病原体に対して抗体を速やかに生成するのは好ましいが、自分の身体の成分(蛋白質など)に対する抗体を生成することがあると自己免疫病を起こす。
事実、自己免疫病である橋本氏病(Hashimoto’s disease, 低甲状腺ホルモンを伴う甲状腺炎、hypothyroiditis)にかかる男女の比率は1対50!ショーグレン氏病(Sjogren’s disease、涙腺や耳下腺の炎症)の比率はほぼ1対10。リュウマチ性神経痛の比率は1対4。免疫反応性(防御性)が高いために女のほうが男より長生きするが、65才を過ぎると男より女のほうが病気がちになる。
男女の寿命の違いには遺伝因子も関与する。

さてここからが本題だが、いま卵子のミトコンドリアDNAに損傷が起きたとしよう。その損傷が卵子のnDNAに悪影響があれば修復するので生まれる女子のnDNAには悪影響はない。しかしほかの損傷で修復されない場合、それが生まれる男子に受け継がれnDNAに悪影響がでることは十分ありうる。男子のnDNAに悪影響のある損傷がmtDNAに蓄積されていくと末代まで男子の遺伝子は女子の遺伝子より弱くなっていく。この現象『母親の呪い:Mother’s curse』と言われているが男女の寿命の違いの一因になることは十分ありうる。
シェークスピアはハムレットの中で「弱きものよ、汝の名は女なり」といったが、とんでもない話だ。男の方がよっぽど弱い。トラさん(車寅次郎)ではないが『男はつらいよ』は男の本音である。
1 件のコメント:
何事でもそうですが、『例外』というものがあることをお忘れなく。
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