2009年5月22日金曜日

メモリアル・デーに寄せて

アメリカの主要な祝日の一つメモリアル・デーは5月25日(月曜日)である。この祝日の主眼は、全国各地で行われる戦没者を記念する行事である。今年は不況のあおりを受けて大小の市町村では予算を切り詰め、パレードなども地味に抑えているようだ。

アメリカ『帝国主義』思想か?
日本だったら差し当たり『靖国神社参拝』、アメリカだったら首都ワシントンに近い『アーリングトン墓地の参詣』という所だが、戦没者を埋葬してあるアメリカン墓地は国内だけでなく、海外、特にヨーロッパに20カ所もあり夫々広大な敷地を確保している。その存在に対して、ヨーロッパで一部の反感を買っているようだ。墓地の設立についての解説は、このブログの末尾をご参照頂きたい。

それはそれとして『靖国』も含めて、国家が関わった戦争のために命を捧げた戦没者たちには、批判抜きに謹んで冥福を祈る。先ずは、その墓地を展望していただきたい。

資料はカリフォルニア在住のエドワード・マンサー(
Edward Manser)からの提供による。

1. フランス、Aisne-Marneのアメリカン墓地:2,289柱の戦没者を埋葬。

2. ベルギー、Ardennes のアメリカン墓地:5,329柱の戦没者を埋葬。

3. フランス、Brittany のアメリカン墓地:4,410柱の戦没者を埋葬。

4. イギリス、Brookwood のアメリカン墓地:468柱の戦没者を埋葬。

5. イギリス、Cambridge のアメリカン墓地:3,812柱の戦没者を埋葬。

6. フランス、Epinal のアメリカン墓地:5,525柱の戦没者を埋葬。

7. ベルギー、Flanders Field のアメリカン墓地:368柱の戦没者を埋葬。

8. イタリー、Florence のアメリカン墓地:4,402柱の戦没者を埋葬。

9. ベルギー、Henri-Chapelle のアメリカン墓地:368柱の戦没者を埋葬。

10. フランス、Lorraine のアメリカン墓地:10,489柱の戦没者を埋葬。

11. ルクセンブルグ、Luxembourg のアメリカン墓地:5,076柱の戦没者を埋葬。

12. フランス、Meuse-Argonne のアメリカン墓地:14,246柱の戦没者を埋葬。

13. ネーデルランド(オランダ)、Netherlands のアメリカン墓地:8,301柱の戦没者を埋葬。

14. フランス、Normandy のアメリカン墓地:9,387柱の戦没者を埋葬。

15. フランス、Oise-Aisne のアメリカン墓地:6,012柱の戦没者を埋葬。

16. フランス、Rhone のアメリカン墓地:861柱の戦没者を埋葬。

17. イタリー、Sicily のアメリカン墓地:7,861柱の戦没者を埋葬。

18. フランス、Somme のアメリカン墓地:1,844柱の戦没者を埋葬。

19. フランス、St. Mihiel のアメリカン墓地:4,153柱の戦没者を埋葬。

20. フランス、 Suresnes のアメリカン墓地:1,541柱の戦没者を埋葬。

21.  パナマ、Corozal のアメリカン墓地:5,364柱の戦没者その他を埋葬。

22. フィリッピン、Manila のアメリカン墓地:17,202柱の戦没者を埋葬。

23. メキシコ、Mexico City のアメリカン墓地:750柱の無名戦没者を埋葬。

24. 北アフリカ、Tunisia のアメリカン墓地:3,724柱の戦没者を埋葬。

総合計104,366柱がヨーロッパで埋葬、加えてパナマ、フィリッピン、メキシコ、および北アフリカでの埋葬合計は27
,040柱
それと別に、約4,962柱のイラク/アフガニスタンでの戦没者は含まれていない。

戦闘後、戦没者の氏名および死亡した時と場所を認定することは墓地登録事業部(the Grave Registration Services)の責務である。早急に屍体の処理埋葬をし、墓碑にしかるべき標識を刻むことが職員の業務となっている。その後日、時には戰線が遠方に移動した数ヶ月後、あるいは終戦後、遺体は中央墓地に移動される。

戦後、
遺族の望みがあれば、政府はアメリカ本土へ棺桶を運び、出身地に本埋葬する機会を与えてきた。一部の家族はこの機会を利用するが、他には辞退する家族もある。一例を挙げると、有名なジョージ・パットン(George Patton)将軍の場合は、本人の意志で、彼と共に戦って戦死した部下が埋葬されているヨーロッパの墓地内に埋葬された。

現在ノルマンディにある墓地は、連合軍がオマハ・ビーチに上陸した
1944年6月6日から2日後の8日に仮埋葬するために設置されたものである。それが後にアメリカン戦闘記念碑建設委員会(The American Battle Monuments CommissionーABMC)によって恒久的な墓地として指定された。同委員会は、アメリカ議会によってアメリカ軍隊の1917年以降の海外および国内での活動、その功労や達成などを顕彰するため、民法に基づいて1923年に創設された。

国外に設置された全てのアメリカン墓地は、アメリカ合衆国の国有財産として登記されているので、その一郭には常に星条旗が翻っている。 

同委員会の管理委員は、海外に設置された24カ所の恒久的アメリカン墓地の計画、運営に当たっている。現在124,913柱の戦没者が上記の墓地に埋葬されている。内訳は第一次世界大戦の戦没者30,921柱、第二次大戦の93,242柱、メキシコ戦争の750柱である。その別に、6,149柱のアメリカ将兵その他がメキシコ市とコロザル(Corozal)のアメリカン墓地に埋葬されている。4,295名(4,962?)のイラク/アフガンでの戦没者は上記の数字には含まれていない。

戦没者のことについてご興味がある方は、同委員会のウェブサイトを検索なさることをお勧めする。右をクリック: www.abmc.gov

同委員会の管理下にある墓地の所在地は下記の通り:

• Aisne-Marne, France • Ardennes, Belgium • Brittany, France • Brookwood, England
• Cambridge, England
• Corozal, Panama • Epinal, France • Flanders Field, Belgium
• Florence, Italy • Henri-Chapelle, Belgium • Lorraine, France • Luxembourg, Luxembourg
• Manila, Philippines •
Meuse-Argonne, France • Mexico City, Mexico
Netherlands, Netherlands • Normandy, France • North Africa, Tunisia • Oise-Aisne, France
Rhone, France • Sicily-Rome, Italy • Somme, France • St. Mihiel, France • Suresnes, France

1 件のコメント:

JA Circle さんのコメント...

一国の指導者が決断して起した戦争によって、敵味方双方の人的、物的な被害は莫大なものがある。直接の犠牲者は将兵であり、また間接的には一般人でもある。戦争はあくまでも避けるべきだ。

せめてもの慰めは、犠牲者が手厚く葬られていることだけだが、その顕彰で戦争がこの世の中から無くなればそれに越した事はない。