ジョー・グレィ(Joseph Grey)
ミシガン州バーミングハム(Birmingham, MI) 在住
[寄稿者は、美術家、ジャズ音楽収集家]
一人の自意識過剰な大学生が湖のほとりを歩いていた。青年は、ふと岸辺の台座で休んでいる老人を認め、近付いて行って「今日は」と声をかけてからその隣に腰を下ろした。老人はチラと青年を一瞥し、声は出さずにうなずいた。ミシガン州バーミングハム(Birmingham, MI) 在住
[寄稿者は、美術家、ジャズ音楽収集家]
半ば無視された形の青年は老人に挑戦を試みた。
「オジさんの年代の人達は俺たちとまるで違った原始的な世界で育ったから、俺たち若い世代のことは理解し難いだろうね」と言ってから、周りの人にも聞こえるように(もし居たとしたら)声を張り上げ「今の我々若い世代は、テレビ、ジェット機、宇宙旅行、人類が月の表面を歩く時代に育ったんだ。我々若い世代は、原子力のエネルギー、原子力船舶や携帯電話、高速のコンピューター、、、その他色々なことが可能な時代に生きているんだからなあ。」
黙って聞いていた老人は一息入れてから、おもむろに口を開いた。
「君の言う通りだ。私たちの世代が君のように若かった頃は、そういったモノは無かったよ。だから我々はその諸々のモノを発明してやったんだ。
さて聞かせてもらおうじゃないか、無礼で生意気なお若いの。それでは君達は君の後の世代の為に何を発明して残すつもりかね?」
周りで聞いていた人々は(もし居たとしたら)、熱狂的な喝采を浴びせ、青年はそそくさと逃げ出した。
1 件のコメント:
何か、日本の昔話しでこれに似た話があったような気がします。老人は新井白石だったように記憶していますが、、、。芥川龍之介がそのエピソードを基に随筆を書いていましたが、芥川の見方は若者の生意気さを支持していました。面白い逸話だと思います。
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