2012年4月3日火曜日

囚人から国会議員に


トーマス・フラー (Thomas Fuller)
4月1日付け、NYTの記事から

ミャンマー民主化へ移行の第一歩が始まった。

軍事独裁の圧政下にあり、ミャンマーの民主化運動を推進してきたダウ・アウン・サン・スー・チー(Daw Aung San Suu Kyi:66才)女史は、1991年、ノーベル平和賞を授賞した後、15年ほど軟禁されて口を塞がれ政治活動を抑えられていた。釈放され、民主国家連盟党(the National League for Democracy)から今回の選挙に立候補し、多数の支持者たちの投票を得て議員に当選した。

文字通り世界中の民主国家から支援されている女史だが、国会で議席の大半は依然として旧軍事政権の筋で占められているのが現実だから、ミャンマーの民主化は楽観できない。
長年の軍事政権下にあったミャンマーの政情が、一年前に市民議員の勢力が進出し、それによって、西欧の経済封鎖が解除されるであろうという期待を寄せていた。それだけにアウン・サン・スー・チーの当選は、ミャンマー人民に希望を抱かせるに十分な出来事と言える。[以下省略]
(朝日新聞:4月2日付け『天声人語』から)
[前略]、、、ミャンマーの民主化である。悪名高い軍事独裁が長く続いた国の豹変ぶりに誰もが驚く。国際社会という観客に民主化を演じつつ、裏で舌を出しているのではないか。疑念がすっきりとは消えないアウン・サン・スー・チー率いる野党の「勝利」が伝わってくる。だが、これとて「公正で自由な選挙をアピールする狙い」との見方がある。補欠選挙だから圧勝されても与党の優位は揺るがない、と。見る目が意地悪に過ぎようかスー・チーは初めて国政に参加する。一歩前進で、民主化への弾みもつこう。とはいえ、強制と恐怖で支配してきた軍政による憲法は残る。[以下省略]

1 件のコメント:

JA Circle さんのコメント...

『軍事政権』という言葉を聞いただけで、かつての日本の悪夢がよみがえってくる。外国の圧力なしで民主化される、と聞いて、額面通りに受け取れないのは『天声人語』と同感な危惧である。それが杞憂であればめでたし、めでたし。