会議で無意味な存在、アメリカ
2010年10月19日付け、NYT社説から
2010年10月19日付け、NYT社説から
1992年、193カ国からの代表がブラジル、リオ・デ・ジャネーロ会議に出席し『多様生物(biodiversity)』を保護する案件の協定に合意した。今まで世界はこうした方向に消極的だった為、保護計画が著しく遅れているのが現実である。実施に合意した国々が今週から来週にかけて名古屋市で会議に参加する。代表たちは、過去における対処の不全を検討し反省し、今後いかに処置したらよいかを討議するはずである。
調査統計によると、1992年からの18年間に、貧しい国ほど以前に比べて加速的な勢いで天然資源を消費している現実を示し、かつて富める国々が歩んできた道を踏襲していることが明らかになった。最近の予測では、地球の植物、生物の5分の1が遠からず絶滅する危機にさらされ、珊瑚礁や両生類の衰退ぶりはそれ以上に悪化しているとのことだ。1992年以来、カリフォルニア州(または日本列島)の面積に相当する(熱帯)雨林(上図の緑は、世界の熱帯雨林の所在地;下は、伐採された森林)が地球上から消滅してしまった。
2002年、前回の会議で調印した国々は、2010年までに『多様生物衰退』の『実質的な阻止』を目標に掲げた。その目標にはそれぞれの国に存在する動植物の10パーセントを保護し、その管理に多大な財政的な援助を出資した。だが、世界野生生物基金(the World Wildlife Fund)の観測では、目標は達成には程遠い、とのことだ。
名古屋会議では、さらに意欲的な目標を定め、2020年までには『多様生物』の保護を20パーセントに増やし、森林の損失をゼロにしたい、としている。これは、実行が計画に伴わない限り実現は覚つかない。この会議では、危険状態にある地域や生物の種族を具体的に確認し、それを基盤とし、協定の目標に向って過程が実行されているかどうかを各調印者が厳しく監視する必要がある。(下左:珊瑚礁;下右:雨林カエル)
富める国々は、貧しい国々が現存の森林、沿岸、水域などの環境を破壊せずに利用するための措置ができるよう援助すると誓約する必要がある。富める国々は、貧しい国々を共同体と考え財政的に援助しなければならない。過去何年間も地球の温暖化問題が国際会議で論じられてきたことが、貧しい国々がその森林を保護するための援助に多少でも役立ったようだ。だが、多くの国々で森林が恐るべき勢いで伐採されているのが実情だ。
1993年の会議で調印したアメリカ合衆国は、193カ国の中で唯一の『批准しなかった』国である。それは1994年、上院議員の投票で『所有財産の権利』を支持する多数の連合派によって打倒されてしまったからであった。言い換えると今回、名古屋会議でのアメリカ代表の立場は『傍聴人』であり、協定の賛否が決定できる『参加者ではない』のだ。
アメリカ人の一人として、これは全く恥ずかしいことである。
1 件のコメント:
富める国の富める人々は、どうやら目先の利害しか目に入らないようです。困ったことに、その富める人々は、もっと豊かになりたがって、彼らが『満足できる豊かさ』には限界がないことです。
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