朝日の天声人語
6月14日付けで下記の要旨を伝えていた。
「核エネルギーはどこか原理的なところで人間の手に負えなくなる。それを無理に使 おうとするとウソで固めなければならなくなる」と作家の池澤夏樹は書いている。上映中の記録映像『原発切抜帖』と『いま原子力発電は…』は、共に30年ほど前の作品だが、産官学のゴマカシがよく分かり、今の惨状を予言していた。『原発切抜帖』は、広島の原爆投下から新聞 記事だけで構成している。何が起きたか軍部や学者は知っていたのに第一報で「若干の損害を受けた模様」としている。
時代も事情も異なるが、今回の原発事故の情報開示に通じるものがある。菅内閣は「直ちに影響はない」と欺瞞が におう。『原発切抜帖』を製作した土本典昭監督(故)は当時「恐ろしくなったのは、放射能を浴びた人たちが、20年、30年の後に病み死んでいく、その時差でした」と語っている。放射能の怖さは、長く体内に潜む『時限爆弾』である。
嘘がばれぬようにするには上塗りの嘘が要る。一つの嘘をつき通すには別の嘘 を二十発明しなくてはならないと西洋の古言にある。何がウソで何がホントか、当事者にも分からなくなっているようだ。原発の是非 は、54基が日本に存在する現実からではなく、広島、長崎に落とされた非人間的な原爆の破壊力にまで立ち返って考えたい。未来に何を渡すか。この分かれ道、いささかも侮れない。
村上春樹のスピーチ
6月9日、スペインのカタルーニャ国際賞授賞式で、村上春樹は『非現実的な夢想家として』と題して受賞スピーチを行った。 その要旨は、歴史的な日本の地質上の宿命から、日本人の天然自然に培われた感傷や人生観を説き、今回の東北大震災の被害現実を説明し、福島の原発の修復に手こずっている現状を訴え、広島、長崎の人的被害から、その後延々と禍根を残す放射能の脅威を説き起こし、いかに原発が効率のよいエネルギーだったとしても日本人は「ノー」を叫び続けるべきだった、と結んでる。(スピーチ全文をご希望の方には無料でPDFファイルをメールに添付してお送りいたします)
原発反対の抗議デモ
東京発:東京をはじめ各地の主要都市で原発使用に反対する抗議デモが繰り広げられた。東北大震災に続き、福島発電所の原子炉崩壊が未だに修復に手こずっていることに国民の怒りが頂点に達したのだ。彼らの怒りは政府の無政策に対してであり、また放射能の汚染が当初の発表より遥かに有害であった事に対してである。(上の写真は6月11日土曜日、東京で。Franck Robichon/European Pressphoto Agency撮影)
母親たちは彼らの子供たちの健康を心配し、農民や漁民たちは彼らの収穫が大損害を受けたことに生活が危機に曝され、その憤懣が無策政府の首脳、管直人内閣にぶつけられた。
(以下、個々の怒りについて例を上げて記述されていますが、読者の殆どがご存知のことと思いますので省略いたします。)
災害の全貌
ニューヨーク・タイムズ:6月11日掲載。
(各項目が本紙にリンクされています。詳しい内容はクリックするとご覧になれます。)
1. 2カ所の原発炉で損壊した部分
3. 危険な燃料貯蔵タンク:プールから注入された水が放射能燃料の軸に貯まると危険な状態になる。
5. ビデオ報道のクリップ:(26点)
7. 福島原発を起点とした避難地域の指定:アメリカ大使館と日本政府による推薦距離を示す。
1 件のコメント:
このブログを公開した直後に、イタリアが国民の総意で原発を全面的に拒否することになった、という報道が伝えられた。イタリア人にできることが日本人にできないはずはない。
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