2010年12月2日付け、NYTより抜粋
人間に限らず、生命を保つためには6ツの元素が欠かせない、とされてきた。その6ツとは、炭素(carbon)、酸素(oxygen)、窒素(nitrogen)、水素(hydrogen)、硫黄(sulfur)、そしてここで問題になってるリン(Phosphorus)である。
連鎖状のリンはDNAとその化学結合の背骨に相当する。特に生体的エネルギーを備蓄するためのアデニン(核酸塩基の一つ)トライフォスフォラスが含まれている微分子の中にある。例えれば、バッテリーが蓄えている化学的エネルギーのようなものだ。その生体的エネルギーは摂氏160度以上の熱でなければ分壊しない。


この放射性をもつバクテリアは『GFAJ』族の1号(GFAJ-1)と名付けられた。 その実験を主導しているウォルフ・サイモン女史は「これは我々と異なった環境で如何に生きるかという微生物です。つまり、従来の『生命を保つ要素』に関する我々の固定観念の扉を開放したことになります」と言う。
このニュースは日本へも直ちにもたらされ、朝日の天声人語や毎日の余録も取り上げていたので、その抜粋をご紹介する。
[共同通信](一部、以下原文のまま) 現在知られているものとは異なる基本要素で生命が存在する可能性を示すもので、生命の誕生、進化の謎に迫る発見といえそうだ。専門家らは生命を構成するのが6元素であることを前提に地球外の生命探しを進めているが、研究グループは「どのような物質を追跡の対象にするか、より真剣に考えなければならない」と指摘している。
研究グループは、米カリフォルニア州にあるヒ素濃度の高い塩水湖『モノ湖』に生息する『GFAJ-1』という細菌に着目。ヒ素が多く、リンが少ない 培養液で培養すると、リンが多い培養液より成長は遅くなるものの、細胞数が6日間で20倍以上に増え、GFAJ-1はヒ素を取り込んで成長することを確認し た。
細胞内の変化を詳しく調べるとDNAやたんぱく質、脂質に含まれていたリンが、培養によってヒ素に置き換わっていた。リンとヒ素は化学的性質が似 ているため、このような現象が起きたと考えられるが、どのように置き換わるかや、置き換わった分子が細胞の中でどのように働くかは分からないとしてい る。
[12月4日付け、余録 ] (前略、以下原文のまま)『そいつ』は電子顕微鏡で見ると不ぞろいな米粒みたいなやつである。だが驚くべきは姿ではない。地球上の普通の生物ならばリンから成る部分に、あの有毒なヒ素を用いて生命活動を行えるのだ。DNAの中のリンもヒ素に置き換えられる▲これもリンとヒ素が同族の元素で化学的性質が似ているからだと聞け ば、SFの宇宙生物を思い出す。『そいつ』こと細菌GFAJ-1は米航空宇宙局(NASA)が米国内の塩水湖で見つけた。それが示すのは地球と全く異なる環 境にも生命が存在する可能性である▲ちなみにヒ素は英語でアーセニックという。遠い未来、はるかかなたの宇宙で、人類が知性をもった『アーセニー』の声に 耳を傾ける時はやってくるのか。
[12月5日、天声人語] (前略、以下原文のまま)そんな奇跡でも起きたかと、米航空宇宙局(NASA)の「重大発表」を待った人もいたようだ。なにせ『宇宙生物学上の発見について』と題されていた。 会見の前から『異星人の可能性』を報じた米国のテレビ局もあった▼ふたを開けると、猛毒のヒ素を食べる細菌の発見だった。米国の湖で見つかった。なーん だ、と思うなかれ。生命に必須のリンの代わりにヒ素を食べる。それは『生命には水が必須』といった常識も覆しかねない発見なのだそうだ▼つまり生命には、これまでの想定をはるかに超える柔軟性があるかもしれない。過酷な環境の星にも我々と異なるタイプの生命が存在する可能性がある、ということになるらしい (後略)
1 件のコメント:
どうも外野は結論をお先走る傾向にあります。今の所、将来を予想できる段階ではありません。いわんや、「地球以外の惑星に生物がいる可能性があるかも知れない」など、SFの夢物語りです。
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