2013年1月2日水曜日

謹賀新年


2013年度、世相比較学会年頭報告   
北村 隆司 (きたむら りゅうじ)  
ニューヨーク在住;2013年1月2日                                                            
古代ギリシャの聖人シメオンと蛇

今年は巳(み:蛇)年。蛇は『復活と再生』の象徴だそうですので、日本の世直しにはもってこいの干支です。閑話休題、恒例に従い、昨年を振り返った「学会報告」をお送り申しあげますので、御笑覧下さい。
マッカーサー元帥(左)と吉田茂首相:
◆ 党派争いばかりでユーモアが消えた昨今、今年の大きな政治課題になりそうなTPP参加と日本の食料問題に絡めて、吉田茂マッカーサー元帥とのユーモラスなやり取りのご紹介から、年頭報告を始めたいと思います。 :
「450万トンの食糧を緊急輸入しないと国民が餓死してしまう」吉田茂マッカーサーに訴えたにも拘らず、70万トンの輸入許可しか出なかった1950年。
マッカーサー「70万トンしか許可しなかったが、餓死者は出なかったではないか。日本の統計はいい加減で困る」と苦言を呈すると、吉田はすかさず「当然でしょう。日本の統計が正確だったら戦争などしていません。また統計通りだったら日本の勝ち戦だったはずです」と応じ、流石のマッカーサーも脱帽したと言う。
「米」中心の農政を脅かすTPP参加を阻止したい農水省は、通常は「生産量」で示す農業の実力を、食習慣の変化で自給率が減った事に目をつけて「カロリーベースの食料自給率」で測る事に切り替えるなど、吉田茂がユーモアの対象とした農業統計のご都合主義は今でも健在です。
◆ TPP以上に気になるのが、「天気晴朗ナレドモ波高シ」の電報で始まった「清潔好きな中国人」「温厚な韓国人」「信仰深い日本人」が住む、北東アジアでの近代史観を巡る争いです。
この問題の解決には、高度な戦略と忍耐が求められますが、「サンボウ」とは「 無謀 、乱暴、凶暴 」の三つを併せ持った人物だと誤解するくらい「戦略音痴」の日本が、「想定外」を交渉失敗の「万能薬」に利用する可能性の大きい事が心配です。
野田元首相(左)と小沢一郎
◆ その日本では、放射能汚染の「土壌」を残したまま「ドジョウ宰相」は去りました。ドジョウを苦しめた小沢一郎は、自分に都合が悪くなると電話にも出ず、雲隠れする悪癖があると聞きますが、居留守がばれて客人の怒りを買うと「本人がいないと言っているのだから、それ以上確かな事はないだろう」と居直った吉田茂のユーモアと余裕が小沢にあればと惜しまれます。
◆ ある新聞の時事川柳に「鳩が出て首尾よくいったためしなし」と言う作品がありましたが、この秀作を鵜呑みにして鳩山を凡人だと思ったら大変な誤解で、実際は、首相在任中に後世に残るこんな名言、至言を残された類い稀な人物です。
鳩山由紀夫
「私は、国というモノがなんだか良く分らないのですが、日本国が日本人だけの為にあるものだとも、日本列島が日本人の所有物だとも思っていません。 
「だからこそ、在日の方が日本の総理大臣になられたとしたら、それは大変素晴らしいことだ と思い、死を覚悟してでも、外国人にも参政権を与えたいと言う信念を持っているのです。
「実は、私が首相になるまで政治主導、官僚任せの意味をどういうものか判らないまま『政権交代するぞ』と言っていましたが、正直、政権交代する前の方が楽でした。
「世襲が日本の政治をゆがめてきた事は、世襲の私が言うのだから間違いありません。トップの首相が大馬鹿者であれば、そんな国がもつわけがない し、確かに私は愚かな首相かもしれません。」
この様な人物を首相に選んだ日本国民の『勇気』も、並大抵ではありません。
こうして、失意の内に引退を決めた鳩山へのはなむけとして、島崎藤村作詞の「惜別の歌 」の替歌を作ってみました。
▶をクリックして、小林旭の動画をバックに口ずさんでみて下さい。
―鳩山氏に送る「惜別の歌」―
原作                  替歌
1.遠き別れに 耐えかねて       秘書の逮捕も 耐えしのび 
  この高殿に 登るかな        この官邸に 登るかな
  悲しむなかれ 我が友よ       悲しむなかれ 我が友よ
  旅の衣を ととのえよ        選挙資金は 母がみる     

2.別れと言えば 昔より        沖縄基地は 県外に
  この人の世の 常なるを       必ず出すと 申せしも
  流るる水を 眺むれば        移転先には 断られ
  夢はずかしき 涙かな        トラスト・ミーも 果てるかな

3.君がさやけき 目の色も        韓流文化に あこがれて
  君くれないの くちびるも       参政権を 献上し
  君がみどりの 黒髪も         友愛思想 示そうと  
  またいつか見ん この別れ       もがいて見たが もの別れ 

4.君がやさしき なぐさめも       心やさしき 小沢氏の
  君が楽しき 歌声も                 お陰でうまく 宰相に
  君が心の 琴の音も          なっては見たが 孤立して  
  またいつか聞かん この別れ       悔しき中に この別れ

阿部晋三新首相
◆ 年頭の誓いや願い事の実現の難しさは「禁煙なんて簡単だ。私は毎日禁煙しているよ」と言ったバーナード・ショウの名言にある通りですが  :
[年金で 税金払って チャラになる]
と言う日本の現状を、安部政権が改善してくれる事を夢見ながら迎えた新年でした。
             
追記:報告書にある「惜別の歌」の替歌と「鳩山語録の編集」は自前ですが、その他のユーモアや川柳の殆どは、世の中の賢者からの拝借物だと言う事を告白しておきます。(筆者)

1 件のコメント:

JA Circle さんのコメント...

本当に、日本の政治家たちに誠実を基盤にしたユーモアが欲しいですね。