2011年1月15日土曜日

炎症の正体、追求中

[このブログの読者の方から、友人がサルコイドーシスという症状名がある皮膚の炎症症状に罹り悩んでいるから、それについて知りたい、というメールを頂いきました。以下は、メイヨ・クリニック(Mayo Clinic)、メドライン・プラス(Medline Plus)、ウイキペディア(Wikipedia)などの報告をまとめたものです。何かのお役に立てば幸いです。編集:高橋 経]

サルコイドーシスとは

身体のどこかで炎症した細胞が、小さく凝集して成長し形成された症状をサルコイドーシス(類肉腫症)という。一般的に肺、リンパ腺、眼、皮膚に発生する。医学者たちは、サルコイドーシスは、免疫能力の異常反応によって起こると想定している。多くの場合、大気中から何らかのバイキンを吸い込んでしまうことが考えられるが、現実に何がきっかけで起こる症状かは今のところ不明である。(上の写真は、左顎患部の接近撮影)

サルコイドーシスの原因は、個人個人で様々に異なる。しばしば、気が付かない内に治ってしまうが、人によると症状が一生つきまとう。もし軽い症状だったら、完治するまで様子を見守っているだけでよいが、症状が不快なほど重いとか、重要な器官に障害があるようだったら、炎症止めの処方薬品で抑えることも一法である。

その症状

サルコイドーシスが体のどの器官に発生したか、その持続期間などで、症状は異なる。時にはサルコイドーシスは徐々に発生成長し、その症状が何年も続くことがある。或は、急に発生し、短時間で消滅してしまうこともある。また、多くのサルコイドーシス患者は痛くも痒くもないので気が付かないが、何か他の治療でレントゲン撮影をした時に偶然発見されることすらある。

一般的な症状
疲労感、微熱、リンパ腺の腫れ、体重の減少など。


肺に起こる症状
サルコイドーシスに罹った患者の殆どは、最終的に肺に異常が発生する。 空咳、浅い呼吸、息苦しさ、胸苦しさや痛み、などを感じる。

皮膚に起こる症状

サルコイドーシスに罹った人々の4人に一人は、皮膚に異常が生じる。 赤紫色の発疹や腫瘍が脛か踵に発生するか、 鼻、頬、あるいは耳の皮膚が変形するか、 皮膚の一部が暗色か明色に変わるか、 古傷とか入れ墨の近くの皮膚に瘤ができるかする。

眼に起きる症状

焦点が鈍るか、眼が痛むか、赤目になるか、光を眩しく感じるかする。
こうした症状が現れたら医師に相談した方がよい。

原因

医学専門家でも
サルコイドーシスの原因は正確に判っていない。一部の患者は、遺伝的に、何かの機会にある種のバクテリア、ウイルス、ホコリ、化学薬品、などのどれかに触れて敏感に反応したかのように見える。医学研究家たちは、遺伝因子に焦点を当て、サルコイドーシス発生の直接原因を突き止めようと調査している。人間本来の免疫能力は、バクテリアとかウイルスなどの微生物に冒されないように保護している。だがサルコイドーシスにより、ある種の免疫細胞が固まって『肉芽腫(granulomas)』という腫瘍になる。その肉芽腫が内臓器官に発生すると、器官の機能が低下する。

その発生の可能性

サルコイドーシスが発生した患者の危険性には;

  • 年令と性別サルコイドーシスは男性より、通常20才から40才までの女性に多く発生している、
  • 人種:白人に比べて黒人に発生率が多い。皮膚に発生した場合、黒人の方が重症になり易い。国際的な記録によると、北部ヨーロッパ人に多く発生し、日本人では、その症状が眼とか心臓に影響を与えている。
  • 遺伝、家系:親族に患者がいたら遺伝の可能性は充分にある。

合併症のこと

サルコイドーシス患者の3分の2は、長期の疾病にならずに完治している。一方、サルコイドーシス疾患が体の他の器官に併発する危険もある。

  • 肺:肺に発生したサルコイドーシスを放置しておくと、肺の中の気室間の組織が取り返しのつかないほど損傷し、呼吸困難に陥る。
  • 眼:眼の一部に炎症が起こると、最悪の場合は失明する。サルコイドーシスは、ごく稀に白内障や緑内障の原因にもなる。
  • 腎臓:サルコイドーシスは、カルシウムの吸収を妨げ、腎臓の機能を低下させる。
  • 心臓:心臓内部に肉芽腫ができると、心臓の鼓動を司る電気シグナルを妨害し、動悸のリズムに変調を来たし、稀に死亡という結果を招く。
  • 神経系統:ごく僅かだが、脳や脊髄に肉芽腫が発生すると、サルコイドーシス患者は神経系統の中央組織を不能にする。顔面神経に肉芽腫が発生して炎症を起こすと、顔の筋肉がうまく動かなくなる。
  • 生殖機能:男性の場合、サルコイドーシスは精巣を侵し、精子を不能にする。女性の場合は障害は治癒し難く、特に出産後は更に悪化する。

治療の準備と医師との相談

症状を自覚したら、かかりつけの医師に相談するべきである。多分、医師は肺の専門医を推薦するであろう。必要とあれば、その肺の専門医は、他の専門医を推薦するであろう。

患者にできること

医師と相談する前に、次の質問に答えられるよう準備;
  • 症状の状態と、それに気が付いた時期、
  • 大気中の有毒な空気を吸った記憶(農業あるいは生産工場の環境など)の有無、
  • 近親に同様な患者の有無、
  • 薬や治療に対するアレルギー反応の有無、などを知っておくこと。

医者に期待すること
身体検査の際、医師は皮膚の損傷の有無を綿密に点検し、脈拍や呼吸を注意深く調べ、リンパ腺に腫れが認められるかどうか、過去のレントゲン写真を調べ、
サルコイドーシスの徴候を見落としていたかどうか、などを調べることになるであろう。

検査と診断

サルコイドーシスは症状が顕著でないため初期に発見するのが難しく、診断するのがたいへんに困難である。また器官組織によって症状が様々なので、他の疾患の症状と類似したものもあるからだ。あらゆる角度から診断し、可能性を狭め、真の症状を発見する必要がある。

視覚的な検査
  • レントゲン撮影:以前に撮った胸部のレントゲン写真からサルコイドーシスを発見する。(上の写真:左は初期、中は進行中、右は末期)
  • 断層撮影(Computerized Tomography (CT-scan)右の写真:黄色い矢印は患部)スキャン:あらゆる角度から体内器官の断層を調べるのに役立つ。

ラボ検査
血液から腎臓や肝臓の機能状態の良否を判断する。(左はリンパ腺の顕微鏡写真、炎症の初期)


肺活検査

肺活量、呼吸状態、排気速度、血液内への酸素の吸収度


生体組織検査

皮下のリンパ腺から一部を採取し、
サルコイドーシスの影響を調べる。ブロンコスコピー(bronchoscopy)という肺の活動を調べる医療器械で肺を検査する。喉を通してチューブを差し込み、肺の一部、米粒ほどの皮膚を採取して監査する。以上のサンプルはラボに送られ、精密検査される。

治療療法と投薬

サルコイドーシスの徴候や症状がなければ、治療療法の必要はないであろう。自然に治癒するかも知れないが、定期的にレントゲン撮影し、眼、皮膚、各種の器官を検査を続けるのが賢明であろう。もしどこかの器官に危険が生じる恐れがあったら、治療療法は必要である。

投薬:
  • コーチコステロイド(corticosteroids):プレドニソン(prednisone)とか他のコーチコステロイドは、サルコイドーシスの治療には最適である。こうした強力な炎症防止薬は直接患部に塗布する。飲み薬のコーチコステロイドは、体重増加、気分が陽気になる、不眠症、骨を弱める(オステオポロシス:osteoporosis)、などの副作用がある。
  • 拒否反応抑制薬(Anti-rejection drugs):メソトレクセイト(methotrexate [Trexall])とか、アザシオプライン(azathioprine [Imuran])は、体の免疫組織をを抑えて炎症を弱める。だが、その代わりに体の免疫性が弱まるという難点がある。
  • マラリア抑制薬(Anti-malarial drugs):ハイドロクシクロロキーネ(Hydroxychloroquine [Plaquenil])は皮膚症、神経系統疾患、血液内のカルシゥムの増加、などに有効だが、眼を痛める恐れがある。投薬中は眼科医の監査が必要。
  • 腫瘍破壊-アルファ抑制剤(TNF-alpha inhibitors):は、一般的に、リューマチ性関節炎を伴う炎症の治療に使われる。他の研究では、インフリクシマブ(infliximab [Remicade])もサルコイドーシスの治療に役立つという報告がある。副作用の可能性には、心臓障害、血液の不純、リンパ腺障害、などがある。

手術

最悪の場合、
サルコイドーシスが肺や肝臓を著しく損傷させていたら、内臓の移植も考慮される。

症状への対処と、近親や友人の理解と援助

サルコイドーシスを完全に治療する方法はない。治療療法は症状といかに対処するかにある。サルコイドーシスが2年以内に消滅してしまう場合がある一方で、この症状で人生に不都合な変化が起きていることも事実だ。

もし我慢できる限界を超えたら、問題をカウンセラーなどと相談するのもよいであろう。
サルコイドーシスの同病グループなどに参加することで救われることもある。

1 件のコメント:

JA Circle さんのコメント...

病気はいわば『敵』。病気を克服するには敵を知ることが第一です。
そして健康第一です。