志知 均(しち ひとし)
2011年1月3日
2011年1月3日
長引く経済不況、10人に一人という高い失業率(9.8%)、13兆ドル(約1100兆円)という政府の巨額な財政赤字、勝ち目のない中東戦争などアメリカの現状は「新年おめでとう」というには程遠い。敗戦で打ちひしがれた日本人へ自由と平等と友愛の民主主義を説いたアメリカ、強くて、明るくて、豊かだったアメリカがどうしてこうなってしまったのか?私は歴史学者ではないから十分な実証に基づく説明はできないが、半世紀近くをアメリカで暮らしている一個人としての所感はある。批判されることを承知で書いてみよう。


その外交にはおそらく、戦争よりはこれらの共産国を自由主義社会に仲間入りさせるほうが極東の平和維持になるとする考えがあったに違いない。そしてニクソンは1972年に中国を訪問した。この訪問をきっかけに中国とアメリカの間に中国に有利な貿易協定が結ばれ、その数十年後にはアメリカ国内における中国製品の氾濫を招いた。


しかし、それによって従来の社会秩序の変革を迫られた白人男性(特に保守的な年配の男性)の我慢(tolerance)は憤懣として心の底に沈滞している。この憤懣が高い失業率と重なって2010年秋の中間選挙で、オバマ大統領が率いる民主党を大敗させた。これからも続く公民権運動は民主主義の理念に沿った素晴らしい運動であるが、社会の分極化(時には混乱)を招くのは避けられないであろう。

マイケル・ダグラス(Michael Douglas)が主演した『ウオール ストリート(Wall Street:右の写真)』を舞台にした映画で「強欲(ごうよく)は良いことだ(Greed is good)」と叫んだ言葉そのままに、彼らはリスクの高い投資に熱中し、不動産の高騰で高利をねらって多額の住宅資金の貸付をした。しかし不動産バブルがはじけた時、貸付金はこげつき、金融会社リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)の破綻に始まる経済恐慌を引き起こした。



このようにあらゆる面で混迷しているアメリカの将来はどうなるのだろうか?Time誌が2010年の『その年に最も影響力のあった人々(Person of the Year)』には、読者の反対にもかかわらず『facebook』を創始して世界に広め、6億人の利用者を獲得したマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg:下の写真)を選んだことはたいへん興味深い。
彼は「世界中の人たちが友達になって、もっと開放的に、もっと連携するようになり(more open and more connected)、お互いに共感(empathy)を持つようになることが望ましい」と言っている。つまり『友愛』である。26歳で推定69億ドル(約5兆6千億円)の大金持ちになった若者の言うことだから金儲けの口実ではないかと反発もあるが、IT器機を生活必需品にしているポスト・ブーマー世代がネットワークを広げて連携することに夢中になっていることは事実である。

「彼は、甘くて生マジメで、角砂糖みたいだ (He is like a sugar cube — sweet and square)」というジョークが囁かれてる。(Zuckerbergはドイツ語で砂糖の山を意味する。) 『友愛』を広めるのにふさわしい。
1 件のコメント:
おおいに同感です。
あまり重要なことではありませんが、アメリカでの「セックスの自由」は、戦後間もなく始まり、蔓延していったようです。
クリントンはその影響を受けていたのでしょう。モニカ事件の頃には、既にエイズが多くの『性の解放者たち』を死なせていました。彼が「火付け役」ではない、とちょっぴり弁護させてください。
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