今は読書週間の真っ最中で、今日11月1日は今年から新たに制定された『古典の日』である。日本なら『源氏物語』を、欧米だったら差し当たりシェークスピアをしっかり読もう、という企みであるようだ。
この傾向がさらに続くと、永年親しんできた『紙製の本』は消滅してしまうのではないか、と危惧する声が聞かれる。それに答える予測は後回しにして、電子書籍の歴史を振り返ってみよう。
◆ グーテンベルグ計画:1971年
グーテンベルグ |
グーテンベルグ(Gutenberg: 1398~Feb. 3, 1468 )というと、1440年頃、活字(組み替えられるタイプ印字という意味)を実用化し、それまで僧侶が手書きで写経してきた聖書(Holy Bible)の多量な複製を可能にした人物である。そのことで彼は印刷業界の恩人とあがめられてきた。ちなみに、グーテンベルグが活字応用を実現させた年から遡ること300年も前に、ある中国人が陶製の活字を開発ている。また1403年には、ある韓国人が、グーテンベルグ活字の原型とも言える金属鋳造の活字製法を発明している。
鉛の活字 |
グーテンベルグの「聖書」 |
現在同プロジェクトから、4万冊に及ぶ古典の電子書籍が無料で提供されている。
◆ インターネットの普及:1990年代初頭
1990年代以前には、インターネットはごく一部の専門家だけのものであったし、ISP (Internet Service Provider: インターネットを繋げる仲介業者)はコンピュサーブ社(CompuServe)がほぼ独占し、加入料金も高価だった。後に電話会社その他が続々とISPとして加わり、加入料金が下がって手頃になるにつれ、一般が続々と加入し始めた。インターネットの身近かな利点は、月々の基本料金は別として無料で文書交信ができる電子メール(eMail)である。これが加入者を急速に増やす原動力になり、それに加えて、あらゆる『情報』を容易に即刻に検索できるという利点が爆発的な普及につながった。それに派生して簡便な『買い物サイト』、友人の輪を広げる『社交サイト』、不特定多数への『発言の場ブロッグ』、個人、企業を問わぬ『自己主張、宣伝のホームページ』などなど、その利点は枚挙にいとまがない。
アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)が書籍の通販を始めたのもこの頃であり、今ではインターネットでは最大の『売り手』に成長した。
◆ PDF (Portable Document Format)の登場:1993年
◆ CD本の誕生:1990年代初期
CD (Compact Disc)は、既にLPレコードやカセット・テープを駆逐し、音楽の媒体を占有していた。それまで『音』だけを収録していたCDが、文書や画像も収録できるようになった。これに従って、この以後に製造されたコンピューターにはCDドライブが内蔵されるようになり、CDの内容をスクリーン上で見ることができる。さらに音声も聞かれる『百科事典』や『雑誌』『カタログ』が発売され、また無料の宣伝材料にも応用されている。
◆ 電子書籍の静かな本格化:1999年
「開けゴマ!」ならぬ「開けイーブック: Open eBook:
◆ ソニー(Sony)とグーグル(Google Books) が電子書籍の商業化:2004年
ソニーのイーリーダー |
◆ ソニー、二代目の端末器: イーリーダー(eReader):2006年
◆ アマゾンの挑戦:2007年
アマゾンのキンドル |
◆ スマートフォンの登場:2007年
アイフォーン |
◆ アップルの追い打ち、アイパッド(iPad)の登場:2010年
アイパッド・ミニ(手前)とアイパッド |
消費者というものは勝手なもので、「大きければよい」と願った舌の根も乾かぬ内に「もう少し小さいと目立たなくて持ち運びに便利」なことを要求し、今年その小型アイパッド・ミニ(iPad Mini)が発表された。これは、もしかしたら消費者の要求に応えたというより、アップル社が販路を拡張するための消費者市場プラニングから生まれたのではないか、という観測もある。いずれにしても、『柳の下』にドジョウがいたようで、これも爆発的な人気を呼んでいる。
◆ 紙製の本は消え去るか?
その理由は様々だが、一つには、『電子書籍』は端末器を介してのみ存在する、という不安定な面が否めない。一方『紙製の本』は『器具なし』でも手に取って直ぐ読めるという安心感がある。紙の「手触り」や「装丁」への執着も捨てられない魅力だ。
第二に、『電子書籍』は貸し借りができないこと。『書籍』を収録している『器具』には個人的な情報が無数に入っているため、他人に貸与するわけにいかない。また収納された『書籍』を他器にコピーすることはできない。
1 件のコメント:
電子書籍の「いいことずくめ」は本当です。ここのコメント欄では書ききれないので、別の機会に発表します。
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