(次のビデオは朝日新聞から拝借)
2012年12月17日月曜日
『金』そして『乱』
ゆく年の印象を一字で表す年中行事に『金』が最高票で選ばれたそうだ。
なるほど、そういうものかと対岸の火事の気軽さで『金』という字を起点にいろいろと連想してみた。
『金』を[キン]と発音すると鉱物の『金』で、『金属』とすると「鉱物一般」ということになる。『黄金』とすると更に値打ちが出て、キラキラした『貴金属』の意味合いが強調されるので、おとぎ話や小説作家たちは好んで使ってきたようだ。勿論『金』の値打ちはエジプトの太古から、カリフォルニア州の『ゴールド・ラッシュ』を経て今日まで、綿々として不動の価値を持続している。
『金』を[カネ]と発音すると、むしろ「通貨」という意味合いをもってくる。だが通貨としての『金貨』は存在するらしいが、流通しているのかどうか、一度もお目にかかったことがない。江戸時代の通貨、、、といっても庶民には縁がない小判が『金』で鋳造されていたらしいが『純金』ではなかったようだ。『金庫』は『お金』その他の貴重品を仕舞っておく一種の[物入れ]だが、その名とは無関係で『金』が収まっているかどうかは疑わしい。
『純金』は化学的には『24金』であり、『金工』の職人は仲間同士では[ヤキ]と呼んでいる。『金の指輪』は、『純金』だと柔らかくて摩耗が早いから、わざわざ『合金』にして『金』の割合を減らして、18金とか14金にするのだそうだ。
『金』の字が付く名前、例えば『金太郎』、『金次郎』、『金蔵』、『金馬』などは親達が子供を『金持ち』にしよう願って付けたのに違いない。『金子』という女性名が見えないのは、[苗字]の『金子』に独占されたしまったからであろう。
いずれにしても、『金』は『金属』にせよ、[通貨]にせよ、それをたくさん蓄えている人は『金持ち』であり、そうなりたく追求に余念のない人々は『拝金』主義者である。『金』に縁のない人々は『金は天下の回りもの』とうそぶいているが、待っているだけで『金』が庶民の方に回ってくるとは思えない。
政治と『金』は本来、無関係なはずだが、どうやら『金回り』のよい政治家の方が[権力]を獲得するのに有利なようだ。日本では衆議院選挙で、アメリカでは大統領選挙でも史上最高の『大金』がバラ巻かれたようだ。再選されたオバマの競合相手だったロムニーは[億万長者]で、『金』の使い方に関する限り、オバマを上回っていたので、マスコミの予想は互角で「若しかしたら、ロムニー大統領」が実現するかに見えたが、オバマの半分しか票が得られず、敗退してしまった。この結果は『金権』以外の不慮の理由があってもたらされたものだが、『金権政治』は東西を問わず共通する現象のようだ。
他人の『金』を預かって利益を上げるのが銀行であり、証券会社であり、ひいては資本主義国家の企業殆どである。彼らの目標は、如何にして[利益を上げるか]、、、つまり『金儲け』をすることが第一で[社会への貢献]は二の次、三の次にされているのが情けない。いずれも近世の『鍊金術師』の集合である。騙されないようご用心。
かくして日本の善良なる国民の多数が『金』の字に票を投じたのだろうが、『乱』を選んだ人々がいたことも忘れてはならない。日本の国会の様子を観察していると、正に『乱』の一字に尽きる。今回の選挙で、自民党が大勝したそうだが、『乱』に陥らず、『拝金』や『金権』を匂わせず、原発の存廃を良識で処理し、沖縄の苦慮を自国の問題として対処してもらいたいものだ。 ------- 編集:高橋 経
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1 件のコメント:
『お金』。無くて悩むのが『お金』。有り過ぎても悩むそうです。「そんな悩みならしてみたい」ですって?無い方が気楽ですよ。本当です。
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